FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←拍手のお返事など(H24.12.2) →27話『秘密』
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png タルタル協奏曲
もくじ  3kaku_s_L.png 星芽寮交響曲
もくじ  3kaku_s_L.png 小説・短編
もくじ  3kaku_s_L.png ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 未整理
もくじ  3kaku_s_L.png リンク
もくじ  3kaku_s_L.png 作品案内
もくじ  3kaku_s_L.png 管理人より
  • 【拍手のお返事など(H24.12.2)】へ
  • 【27話『秘密』】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

星芽寮交響曲

26話『それぞれの想い』

 ←拍手のお返事など(H24.12.2) →27話『秘密』
9月24日 朝

 

‥気がついたときには、もう朝‥
そんな言葉がピッタリくる位、僕は‥深く眠っていたみたいだった。
朝‥とは言っても、とても静かな朝で‥
感覚‥あくまで感覚なんだけど、「いつも目覚めるよりも早い時間」だと思う。
窓から時計台を見れば、時間も分かるんだろうけど‥それよりも。
‥今は少し‥考え事をしたいんだ。
考え事‥それは勿論、昨夜の事。
昨夜、僕は‥ヤダンに告白されたんだ。
そう、「好きだ」って言われて‥。
その‥本当にびっくりしたよ。
だって‥ね?ヤダンには、その‥彼女が居るんだし‥って。
‥でも、その彼女とも、別れたって聞いて‥
更には僕の事が好き、だなんて‥。
そんな事言われても、僕‥急過ぎて、何がなんだか‥。
‥昨夜だって、あれから‥僕達がひとりえっちもしないで、ベッドに入ってから‥
ヤダンはすぐに寝ちゃったみたいだけど、僕は‥色々と考えてしまって、なかなか寝付けなかったんだ。
ヤダンの言葉‥ヤダンの想い‥僕は‥どう受け止めるべきなんだろう。
‥勿論、ヤダンの事は嫌いじゃない。
それどころか、その‥好きだ、って言っても良いくらいだもの。
でも‥でも。
僕の言う「好き」は、ヤダンの言う「好き」と‥同じなのかな、って思うんだ。
ヤダンは‥勿論「恋人」の様な好き‥なんだと思うけど‥
僕の好きは、きっと‥まだ「友達」としての好き‥で。
‥そうだ、僕は‥ヤダンを恋愛の対象として‥見た事が無かったから‥。
それじゃあ、今‥‥意識してみたら、どうかな?
‥ヤダンは、そうだね‥ふふ、顔は良いし、服装だって‥うん、格好いいし。
お仕事でも頑張ってる、って‥ハランさんが言ってたっけ。
それに‥努力家だし‥女の子‥いや、僕にだって優しいし‥
‥そ、それに‥‥夜のひとりえっちだって‥その‥見せ合ってるし‥。
うぅ、今考えたら‥やっぱり恥ずかしいなぁ‥。
ヤダン‥僕の事をいつから好きになったんだろう‥
‥その‥僕のえっちな姿、ずっと見てたんだよね‥きっと‥。
‥そ、そりゃあ‥僕だって時々は見てたけど‥‥ヤダンのえっちな所。
と、とにかく‥そんなヤダンと、その‥えっちな事をするのも‥‥嫌じゃない、と思うし‥
って、なんだか考えがヘンな方向に進んじゃったなぁ‥。
えっと‥とりあえず、ヤダンの事を考えるのは、一旦止めにして‥
‥僕が今、気になっている‥「もう一人の人」の事を考えてみよう。
僕が気になっている、もう一人の人‥それは‥‥ディルだ。
‥辛い時、慰めてくれたディル。
‥浴衣を着て、はにかんでいたディル。
そして‥
僕を‥抱きしめてくれたディル‥。
色々なディルの表情が、頭の中に浮かんでくる。
気がついたら‥僕はディルに惹かれていて‥。
友達としてじゃない‥はっきりと「好きだ」って‥思う様になっていたんだ。
でも‥‥でも。
僕の想いは、一方通行‥かもしれない。
‥僕が「男の人が好きだ」って言ったとき、ディルはこう言ってたっけ‥
(人が人を好きになるのは自然の事や。例えそれが異性であっても、同性であっても。
 せやから、そんな事はどうでもええねん。どっちであれ、ピノはピノ‥やろ?)
あの言葉を聞いて‥僕は‥本当に嬉しかったんだ。
でも‥それは「僕が男の人を好き」なのを認めてくれているだけで‥
‥「僕がディルを好き」なのに応えてくれる訳じゃ無い‥当たり前だけど。
つまり、他人なら男同士好きあっても良いかもしれないけど、自分は関わりたくない‥って事もありうる‥
‥極論かもしれないけど‥ね。
第一、男の人が好きだなんて‥どう考えても少数派、だものね。
たまたま僕が‥そしてヤダンも、そうだった、ってだけで。
ディルが、普通に「女の人が好き」だったら、僕の想いなんて‥。
‥そう、僕の想いは一方通行‥なのかもしれない、って事なんだ。
それから‥問題はまだあるんだ。
それは‥最近のディルの態度‥だ。
あ、最近、って言っても‥ディルが故郷に帰る前までの話、だけど‥
ディルが僕を‥避けていた‥事。
あれは‥どういう意味だったんだろう‥。
‥そのままの意味で、僕の事が嫌いになった‥
‥あるいは、僕とは話がしたくない‥
‥もしくは‥‥ううん。
幾ら考えても分からないし、それなら‥直接確かめよう、そう考えていた矢先‥
彼は故郷へ帰ってしまったんだ。
‥もし嫌われていたのだとしたら、いっそのことヤダンと‥
‥‥僕は、なんて事を考えてるんだろう。
ディルがダメならヤダン‥だなんて、そんなバカな事、考えちゃいけない。
だって、そんなの‥ヤダンに対して酷すぎるよ‥。
自分の都合でころころと気持ちを変えるなんて、そんなの‥。
だから‥だから、ちゃんと考えよう。
ヤダンとディルの事‥僕はどう想っているのかを‥。
‥ちゃんと‥ちゃんと考えて、そして‥
‥‥あんな思いはもう、したくない‥から‥。
‥‥‥
それにしても‥
‥僕の目の前で、すぅすぅと寝息を立てて寝ている‥ヤダン。
さっきは「格好いい」って思っていた僕だけど‥
こうしてじっくり見てみると‥ふふ、寝顔が可愛いんだ。
ヤダン‥ヤダン、かぁ‥。
‥今になって、昨夜は‥ヤダンと「触りあいっこ」してもよかったかなぁ、なんて思ってたんだけど‥
ふふ、今更だよね。
でも‥他人に触って貰う‥扱いて貰うのって‥気持ちよさそう‥だよね。
‥ヤダンのはじめての時だって、とっても気持ちよさそうにしていたし‥
って、あの時はヤダン、自分でしたことも無かったんだっけ。
と、ともかく‥僕だって、興味はあるし‥
‥今晩、言ってみようかな‥
そう‥ただ触りあうだけなんだから、そんな‥ね?
その‥本当に好きになった人とする、えっち‥
‥例えば舐めたりだとか、そういうのとは‥ちょっと違うものね。
‥‥よし。
なんだか、自分に言い聞かせるような‥言い訳をしているような‥そんな感じがしないでもないけれど‥
とにかくそう結論づけた僕は‥‥
「ふ‥‥わぁ‥‥‥」
なんだか‥色々と考えてる間に、また眠くなってきちゃったみたいだ。
まだまだ朝も早い時間だし、とりあえず‥もう一眠りしようかな。
今日は闇曜日だし、少しくらい寝過ごしても‥良いもんね。
そう考えている間に、僕はまた‥夢の中へと落ちていったんだ。


「‥よりにもよって、お前が居るとはなぁ‥」
寮にある浴場‥その脱衣場にて。
俺はため息と共に、そんな言葉を呟いた。
‥だって‥なぁ?
「なんだよ、その言い方は。‥つれねぇよなぁ、ヤダン?」
俺の目の前に居るのは‥にやにや嬉しそうに笑っている、あのラスキだから‥だ。
‥今日は休みの日、って事もあって、ピノはお昼過ぎに出かけてしまった。
昨夜の事があったから、っていうのもあるけど‥
気軽に「どこ行くんだ?俺も行くよ」なんて事は言い辛いし‥
俺は俺で、まぁ‥色々と考えながら過ごしてたんだけど。
で、夕方になってからは‥俺も普段通りランニングに出て、そしてさっき戻ってきたんだが‥
そうしたら、ピノが戻ってきた形跡があったんだよ。
だから、もしかしたら風呂にでも来てるのかな?なんて思って俺もやってきたら‥
結果として、こんな事になっちまった、って訳だ。
‥いや、まだだ。
脱衣場には居なくても、風呂場に居るのかもしれねぇし。
そうだよな‥うんうん、期待して良いよな!
「お、ヤダン、今日は俺達二人で貸しきりだぜ!」
‥先に風呂場に向かったラスキから、そんな言葉が聞こえてきて‥
思わずうなだれてしまう俺だった‥。

「いや、だからさ、そう警戒すんなって」
ラスキが身体を洗う‥その隣の隣で身体を洗う俺。
‥いや、そう言われても‥なぁ?
ラスキと言えば‥そうだ、他人のちんちんをさわりたがるヤツなんだ。
油断してるとあっと言う間にさわられて、揉まれて‥挙げ句の果てには‥
「おれは今日、機嫌良いからさ‥にゃはは」
俺の警戒を余所に、ラスキはそんな風に笑ってやがる。
‥確かに、いつもよりもラスキの機嫌は良いようだし‥
それなら「もしかしたら」って事も考えられるな。
「‥分かった‥で、なんでそんなに機嫌が良いんだ?」
俺はなんとなく‥その「機嫌が良い理由」を聞いてみたんだ。
‥いや、別に「凄く知りたい!」なんて言う訳じゃ無いぞ。
ほら、話の流れ的に‥ってヤツだよ。
でも、ラスキの反応って言うと‥‥凄いものだった。
「お‥知りたいか、知りたいかぁ‥そうかぁ、それなら仕方無ぇよなぁ。うんうん」
俺の言葉に、さっきまで以上に嬉しそうな表情をし、声を大きくするラスキ。
言葉だけだと「仕方無く」話す様に聞こえるが、本心は‥話したくてたまらないんだろう‥。
一気に言葉をまくしたててくるんだからな。
「い、いや別にそれほど‥」
「ふふ、実はさ、俺‥彼女が出来てさ‥いや、その彼女がまた良い子なんだよ。例えばさ‥」
別にそれほど聞きたくは無いけど‥という俺の言葉を遮る様にして、ラスキは話し始める。
その‥彼女の話を延々と。
余程嬉しいんだろうな‥うん、ラスキの顔は、嬉しそうにとっても輝いていて‥
うん‥俺にだって分かるさ。
‥俺だって、初めて彼女が出来たとき‥シャミミと付き合い始めたときは‥嬉しくて。
何もかもが楽しかった‥そんな時があったんだ。
でも‥そんなシャミミとも、もう‥‥。
‥そういえば、シャミミは手紙で言ってたっけ‥
銀河祭で会った時、何となく‥俺に気になる人が居る事に、気付いてた、って‥。
そんな‥分かるものなのかな‥‥いや、分かるもんなんだろうな。
ん‥でも、あの時は俺、まだピノをそんなに‥‥いや。
俺は‥もっと前に‥‥ん?
あれこれと考え事をしていた俺だったけれど‥ふと、気がつくと‥ラスキのお喋りが止まっていて。
‥それどころか、さっきとは逆に落ち込んでいるような‥そんな印象すらある。
た、確かに俺は少しばかり黙ってたけど‥一体どうしたんだ?
「どうしたんだ、ラスキ‥?」
「ん‥いやさ、お前も‥ヨックと同じ様な顔、するんだな」
俺の言葉に、ラスキはそんな言葉を漏らす。
‥‥‥ヨック‥?
ヨックって‥ラスキと同室の、あのヨックだよな?
あの‥真面目でクールな、しっかり者のヨック‥?
「‥‥え?それってどういう‥」
「俺がさ、彼女の話をしてると‥なんだか落ち込んだような‥いや、苦しそうな顔をするんだよ。
 ‥いや、俺だって別にいつも彼女の話をしてる訳じゃねぇよ?そんなしつこく‥してるつもりはねぇんだけど‥」
そう言うラスキの表情は‥今までに見たことの無い様な、そんな‥「悩む顔」だった。
ちょっと迷惑なところはあるけど、それでも‥いつも明るくて元気なラスキ。
そのラスキが‥こんな「悩む顔」を見せている‥。
よっぽど真剣に考えてのこと、なんだろう。
でも‥なんだ‥?ヨックの「苦しそうな顔」ってのは。
その‥ラスキの言う通り、ラスキの話が鬱陶しい、とかなら‥もう少し違う表情をするだろう。
そうじゃなくて、苦しそう‥ってのは一体‥
「その‥彼女とのデートの話を、聞いて貰っててさ‥最初は、彼女との話を嬉しそうに聞いてくれたんだよ。
 それが今日‥って言ってもまだ3回目なんだけど、ヨックは‥苦しそうな顔をして‥」
彼女とのデートの話を聞かされて‥苦しそう‥か。
それってもしかしたら‥‥もしかしたら。
そうだ‥もしかしたら、ヨックはラスキの事が好きで‥
で、ラスキが嬉しそうに話す様子を、ヨックとしても嬉しく思うけど‥反面。
ラスキが嬉しそうなのは、あくまで彼女の事を話しているからで‥。
そう考えると、気持ちが苦しくなる‥のかな、なんて。
‥そんな事あるハズ無ぇよな‥。
ああ‥そんな事、あるハズが無ぇ。
そう考えるのはきっと、俺がピノを好きだから‥その‥男が好きだから、っていう前提があるからだ。
男だって、男が好きになれる‥そんな風に前提として思っちまうから‥
だから、「ヨックがラスキを」なんて事を平然と考えちまうんだ。
そんな事、そうそうあるハズなんて無ぇんだから‥。
‥で、そうなると‥本当にヨックが苦しむ理由なんて、分かるハズも無ぇし‥。
‥‥ふぅ‥。
ラスキに、なんて声掛けてやればいいのか‥。
勿論、俺にはヨックの詳しい事なんて分からねぇから‥的確なことなんて言える訳が無ぇ。
でも‥辛そうにしているラスキに、何か‥声を掛けてやりたいんだ。
だから‥
「まぁ、なんだ‥‥彼女の事を話して、ヨックが苦しそうになるんなら‥あんまり話さない方が良いんじゃねぇか。
 ヨックにはヨックなりの、何か‥考えとかあるのかもしれねぇし」
「‥そう‥‥だな」
俺の‥上手いとは言えないアドバイスに、それでも神妙な顔をして頷くラスキ。
ラスキもラスキなりに、ヨックを考えての事‥なんだろう。
「ラスキはヨックの事、心配してるんだと思うけどさ」
「い、いや‥その‥心配っていうか‥‥気になってるだけだ。‥‥その、同室‥だしな」
俺の言葉を遮る様にして、ラスキは慌てて話し始める。
俺の「心配」っていう言葉にラスキは反応したんだろう‥その表情だって恥ずかしそうに見えて。
ふふ‥ラスキにとっては「心配」って言葉は‥照れくさいんだろうな。
‥ラスキだって、普段はちょっとあれだけど‥本当は思いやりのある良いヤツ、なんだ。
「‥ああ、それで良いからさ‥たまには気にしてやれよ」
「ん‥まぁ、ありがとよ。気を‥つけてみる」
最後は少しだけ‥ラスキも元気が出たみたいで。
ラスキはそう言うと、身体に付いた泡を洗い流した。
‥俺もラスキと同じ様に、お湯を掛けて‥身体を洗い終えて、と。
よし、それじゃあ風呂に浸かるとするか。
‥と、思ったら‥
‥‥‥ぐにぐに。
「うおっ‥こ、こら、ラスキ‥お前、さっき触らないって‥」
「‥まぁ、なんだ‥触りたいときってあるだろ?」
‥そう言ってにやにやしながら、俺のちんちんを揉み出すラスキ‥
全く‥ホントにラスキってヤツは‥。


「‥‥ふぅ」
夕食後の‥人影もまばらな浴場。
オイラは身体を洗いながら‥自然とそんなため息をついてしまう。
‥考えれば考えるほど、落ち込んじゃって‥
本当は考えない方が良いんだろうけど、でも‥‥。
「どうしたんだ、フリスト‥ため息なんかついて」
そんなオイラのため息が、聞こえたんだろう。
その人は、オイラの隣の洗い場に座って‥声を掛けてきたんだ。
「あ‥ヨック、珍しいネ、ここで会うなんてサ」
「あぁ‥そうだな」
オイラは大抵、寝る直前にお風呂に入るタイプで‥
ヨックは確か、夕食の前にいつも入る、とか聞いた気がする。
‥で、今は‥寝る前でもなければ、夕食の前でも無くて。
互いにいつもとは違う時間に入っていて‥そして会うなんて、珍しい‥って思ったから。
いや、いつもと違う時間に入っているから、会った‥のかな。
‥なんて、今はそんなのどうでもいい事‥だ。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
オイラも、ヨックも‥
なんていうのか、言葉が出ないまま‥時間が過ぎていく。
‥いや、勿論身体は洗ってるんだけど。
オイラも、ヨックも、何も言わないまま‥あ。
もしかしたら、ヨックは‥オイラの答えを待っているのかもしれない。
オイラがため息をついた、その理由を話すのを、待ってくれているのかもしれない。
だったら‥話してみようかな。
話す事で少しはラクに‥なるかもしれない‥し‥
「‥あの‥ネ。オイラ‥‥‥ううン、なんでもなイ」
途中まで‥その‥言えそうに思ったんだけど‥‥でも。
‥やっぱり‥やっぱり、話せないよ。
話せる‥訳が無い。
「そこまで言っておいて、何でも無い‥で済むはずが無いだろう。
 ‥一体どうしたんだ?最近のフリストは‥なんていうか、落ち込んでるみたいだが」
言葉の出ないオイラに、ヨックは‥そんな風に言ったんだ。
‥とは言っても、声とか口調は‥優しいもので。
オイラ、ここ最近は確かに元気が無かったから‥だから‥‥
ヨック‥気を遣ってくれてるのかな。
「あ‥‥うン‥そうだネ‥」
オイラは‥ヨックの言葉に、心が揺れる。
‥ヨックに話したら‥ヨックに聞いて貰えたら‥って‥
心の中で、そんな思いが強くなっていく。
「‥何か、辛い事でもあった‥のか?」
辛い事‥‥うん、そうだね。
他の人にとっては、そうでもなくても‥オイラにとっては‥辛い事。
でも‥‥
‥‥オイラは‥ディルの事が‥好きなんだ。
その‥男同士だ、っていうのは分かってる‥分かってるけど‥。
それでも好きで‥好きで‥仕方無くて。
いつから好きになったのかは分からない‥気がついたら‥好きになっていて。
最初は‥オイラは「違う」と思ってた‥。
やっぱり「男同士」って‥違うって思って‥。
でも‥でも。
‥あますず祭りで‥手を繋いだとき‥はっきりと分かったんだ‥。
‥‥好きだって‥ディルの事が‥好きだって‥。
だから‥ディルが故郷へと帰ったときは、すごく‥悲しかった。
‥恥ずかしいけど‥ディルの前で‥みんなの前で、声を上げて泣いて‥。
そんなオイラを、ディルは‥優しく頭を撫でてくれた‥。
ディル‥ディル‥こんなに‥好きだけど‥
‥オイラ達、男同士‥だもんね。
きっとディルは‥嫌がるに決まってる‥だから‥だから‥。
でも‥オイラは‥‥あぁ‥。
「‥‥あのネ、ヨック‥‥その‥‥『隠し事』って、あル?」
「か‥隠し事‥って‥‥そ、そりゃあまぁ、ある‥けど‥」
オイラの突然の言葉に、ヨックは凄く慌てて答えてくれる。
‥どうしたのかな?何か‥いや、それよりも。
そうだ‥オイラの事を話さないと。
「‥やっぱり、ある‥よネ。その‥オイラはサ‥‥うーん‥」
なんて言ったら良いんだろう。
直接、その‥‥本当の事を言うのは、やっぱり‥辛いから。
だから‥少しぼかして言えたら、って思ったんだけど‥
‥上手い言葉が見つからない、な‥。
「隠し事をしているのが辛い‥という事か?」
言葉の出ないオイラに、ヨックはそんな助け船を出してくれる。
そう‥そんな気持ちもある‥
ディルを想う気持ち‥でも、それは言えなくて‥
それを隠して‥「友達らしい」言葉を伝えて‥
‥今の関係を、崩したくは無いから‥。
「うーん、なんて言ったらいいのかナ。その‥
 ‥本当の事を言っちゃうト、相手を‥傷つける、っていうカ‥今の関係が崩れちゃいそうデ‥」
そう‥もし‥オイラの気持ちを伝えたら‥きっと‥きっとそうなってしまう。
でも‥オイラは‥伝えたい‥伝えて、そして‥
‥‥そんなの、無理‥なのに‥。
「今の関係を‥崩す、か‥」
「うン‥きっと‥きっト‥‥もう元には戻れなイ、そんな気がするんダ」
そりゃ‥そうだと思う。
友達だと思っていた人が、「そういうつもり」で自分を見ていると知ったら‥
‥もう近づきたくない‥って、きっと思うよね‥。
「元には‥戻れない‥‥か‥」
「うン‥でも、それでモ‥本当の事を言った方がいいのかな、なんて‥」
「‥良いにきまってるさ」
オイラが話を終える前に。
‥ヨックの強い「断定」の言葉がオイラに突き刺さる。
今まで静かに‥優しく聞いてくれていた、ヨックの様子からは一変して。
その変わりように、思わずオイラは‥ヘンな声を漏らしてしまった。
「‥‥エ?」
身体を洗う手を止めて、ヨックの方を見るオイラ。
‥ヨックもまた、オイラの方を‥真剣な表情で見つめていて。
その表情のままで‥話し出したんだ。
「本当の事を隠して‥取り繕う様なウソを言って‥例えそれで、相手が喜んでくれても。
 ‥喜んでいるのは、本当の自分に対して、じゃない。ウソの自分に対して、喜んでくれているだけだ。
 ‥だったら‥だったら‥‥」
ヨックの言葉‥真剣な言葉が、オイラの胸に突き刺さっていく。
‥そうだ‥確かにそう‥だけど‥
でも‥‥ヨック、一体どうしてそんなに‥
「‥ヨック‥?」
「‥あ‥‥えっと、例えばの話、だ。うん‥気にするな」
オイラの聞き返す言葉に、ヨックは慌ててそう言って。
ヨックが言ったのは‥まるで何かを表す様な‥そんな言葉。
そう、まるで本当の‥‥ううん、そんな事は良いんだ。
それよりも‥とにかくヨックの言葉は、オイラの心に‥重く響いて。
オイラはただ‥「うン」と答えるしかできなかった。
「‥その‥すまんな、ヘンな事を言って‥」
「ううン、そんな事無いヨ。‥ありがとウ、ヨック‥‥オイラ、少しだケ‥」
ヨックはすまなさそうに、そう言うけど‥
‥ヘンな事じゃないよ。
オイラは、ヨックのお陰で少しだけ‥そう、少しだけ‥
「少しだけ‥?」
「‥うん‥‥覚悟、ってのが出てきタ‥って思うんダ」
覚悟‥‥覚悟が。
本当の事を、言う覚悟が。
‥出てきたんだ。
「‥‥覚悟‥‥か。‥‥‥そうだな」
ヨックも‥何か決心した‥のかな。
そんな事を言っていて。
‥その表情は‥少しだけ晴れ晴れとしているようにも‥見えたんだ。


夜‥そろそろ寝る‥そんな時間。
僕はいつもの様に、読書を終えて‥そして‥
ベッドに向かう、その前に。
‥ヤダンに言うんだ‥そう、朝‥思った事を。
‥‥ちょっと恥ずかしいけど‥それでも言うんだ。
だって‥だって。
その‥結局、昨日はひとりえっちをしてない事もあって、僕だって、その‥‥溜まっちゃってるし‥。
それに‥一度考え始めたら‥そ、その‥‥止まらなくなっちゃって‥。
と、とにかく。
今日は珍しく、机に向かって本を読んでいるヤダンに‥僕は声を掛けたんだ。

ね、ヤダン‥ちょっと良いかな?
ん‥どうしたんだ、ピノ?
その‥ね、良かったら、今日‥‥しない?
‥お‥おう、良いぞ。勿論‥俺だってしたい、って思ってたし‥それじゃあ‥
あ‥あと‥それとね‥その‥
‥うん、まだ何かあるのか?
あの‥‥今日はね、お互いに‥触りあいっこ‥しない?
‥え‥え、ええっ!‥い‥良いのか‥その‥‥嫌じゃない‥のか?
う‥嫌なんかじゃないよ‥その‥
あ‥ああ、キスはしねぇからさ‥‥しよう‥しよう!
う、うん‥

そんな恥ずかしい会話を交わしながら‥僕達はベッドに上がる。
そして‥お互いにちんちんを扱きあったんだけど‥
‥それは想像した通り‥ううん、想像以上に‥気持ち良くて。
終わった後は、二人して‥照れ笑いを浮かべた位なんだ。
こんなに気持ち良いなんて、びっくりしたね‥って。
‥そんなとても気持ちの良い時間を共有して‥
僕は少しずつ‥ヤダンに惹かれていく。
そう‥僕はヤダンに惹かれていったんだ。


 
関連記事
もくじ  3kaku_s_L.png タルタル協奏曲
もくじ  3kaku_s_L.png 星芽寮交響曲
もくじ  3kaku_s_L.png 小説・短編
もくじ  3kaku_s_L.png ショート
もくじ  3kaku_s_L.png 未整理
もくじ  3kaku_s_L.png リンク
もくじ  3kaku_s_L.png 作品案内
もくじ  3kaku_s_L.png 管理人より
  • 【拍手のお返事など(H24.12.2)】へ
  • 【27話『秘密』】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【拍手のお返事など(H24.12.2)】へ
  • 【27話『秘密』】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。