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 ←其ノ6『迫られる少年』 →その20『ウェイン・ランディング』
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ショート

その19『ウェイン・アタック』

 ←其ノ6『迫られる少年』 →その20『ウェイン・ランディング』
「やぁ、お邪魔するよ」
ジュノ上層にある、とあるアトリエ‥いや、火事場‥‥いやいや、鍛冶場、って言うんだったか。
とにかく、ボクは今‥その扉を叩いた所だ。
‥とは言っても、勿論舵‥いや、鍛冶場に入門する‥って意味じゃないよ。
フフ、ボクはこう見えても赤魔道士だからね‥力仕事はごめんなのさ。

「‥なんだ、今時赤魔道士のアーティファクト着てるヤツなんて珍しい、って思ったら‥ウェインか。
 こっちは遊んでる暇なんてねーぞ」
おっと、いきなりボクの素晴らしい赤魔道士アーティファクトを褒めてくれるなんて‥嬉しいね。
流石はこの家事‥いや、もうアトリエで良いね。
ともかく‥流石はアトリエの主人の言葉だ。
あぁ、アトリエの主人っていうのは、見ての通り‥タルタル族のホルホル‥ああ、これはボクが付けた通称だよ。
本名は確か‥ホルグ・ラホルグだったね。
とにかく、ボクはそのホルホルに褒められて、早速いつもの決めポーズを取ってみせる。
ホルホルから見て斜め40度の体勢‥ボクの美しさが一番引き立つ角度だ。
ワーロックシャポーからこぼれる銀髪のポニー。
ワーロックタバードがボクの豊満な身体を包み込み。
ワーロックタイツが足下をスマートに彩り。
おまけに左手には情熱の‥ん?
‥ああ、ボクとしたことが‥ついいつものレッドローズを切らしてしまったようだ。
帰りにP&G‥じゃない、M&Pマートで買って帰るとしよう。
おっと、ボクの事は良いんだ‥美しいボクの事は‥ね。
それよりも‥相変わらずホルホルは固いね。
ポーズを決めているボクに対し、ため息をついて見つめているだけなんて。
素直に「今日も美しいじゃないか」とか言えば良いのに‥まぁ、仕事中だから仕方無いか。
彼も、仕事の事となると五月蠅い‥よく言えば仕事はきっちりとこなすタイプの人だから。
こういうのを‥なんだっけ、珍固一徹、って言うんだっけ。
まぁ、そんなホルホルも、きっと喜んでくれるプレゼントを‥ボクは持ってきたんだ。
「そう固いこと言わないでくれよ。‥ほら、差し入れもあるんだよ?」
ボクはそんな言葉を掛けると、懐からそっと包みを取り出し、ホルホルに手渡した。
まぁ、何かと彼には世話になっているからね、これくらいはしておかないと。
ほら、良く言うだろう?釣ったプギルにエサはやらない、っていうヤツさ。
「‥まぁ、差し入れはありがたく受け取ってやるよ。‥で、本題はこっちなんだろ」
ボクの出した差し入れの包みを、ホルホルは少し嬉しそうな表情で受け取ると‥
代わりに、とばかりに一丁の短剣を手渡してくる。
‥本当は、包みを開いて‥ホルホルの笑顔を見たかったのだけれど‥仕方無い。
まぁ、彼の事だ‥あとでゆっくりと味わって食べてくれるだろう。
ボクが丹精込めて選んだ、珠玉の逸品‥ゴブリンチョコを。
さて‥チョコはともかくとして、ボクがここに来た目的は‥そう、この短剣を受け取る事だ。
数日前、ホルホルに依頼しておいた、この短剣‥ああ、想像してはいたけれど‥
実物を見てみると、想像以上に良い出来だと分かる。
オリハルコンの刀身‥鈍黒に光る柄‥そして末端を彩る厳かなルビーの光が、更にひと味を加えている‥。
正に眉目秀麗、ほおずりをしたくなるような出来映えだ‥本当にしたら頬が斬れてしまうけどね。
「あぁ、出来たんだね‥ありがとう。‥‥うん、流石はホルホル‥良い出来だね」
ボクは早速手に持ち、その感触を確かめてみる‥
あぁ、タルタル族のボクにも扱いやすそうな、とても良いものだ。
流石は梶‥いや、鍛冶師のホルホルだ。
これを作ってくれ、と素材を渡したのはボクだけど‥ここまで素晴らしいものに仕上げてくれるなんて。
でも、そんなボクの賛辞の言葉にも‥ホルホルは少し照れてみせるだけで。
「褒めたって何も出ねぇからな」
そんな素っ気ない言葉を返すだけ。
ふふ‥そう言いながらも、頬を少し朱くして‥恥ずかしいからか、そっぽを向いているのは‥なんとも可愛い事だ。
まぁ、そこがホルホルの良い所と言えば良い所なんだけどね。
「ふふ、ホルホルのそういう所、好きだよ。何なら今からでも代金‥」
「要らねぇよ。‥お前には世話になってるからな」
代金を払おうか、というボクの提案に‥ホルホルは迷うことなくそう返してくる。
その様子はとても遠慮している様ではなくて‥心から「要らない」と言っている様に見える。
どうやらホルホルはボクの「代金」は要らない様だ。
「ふふ、嬉しいような‥ちょっと寂しい様な」
そんなホルホルの答えは‥まぁ、ボクにとっては微妙な気持ちを抱かせる。
え?お金が掛からなくて良いだろうって?‥いや、そういう意味じゃ無いんだよ、うん。
彼に言った「代金」というのは、お金の事じゃない‥どちらかと言えば「見返り」って意味なんだ。
「なんだ?相手して欲しいのか?‥いや、それ以前にお前‥『こっち』に来るのか?」
ボクの言葉に、ホルホルは少しだけ怪訝そうな顔をして‥そんな言葉を返してくる。
え?ホルホルの言葉の意味が分からないって?
仕方無い‥まぁ、少しずつ説明しよう。
まず‥ホルホルはちょっと特別でね。
彼自身、タルタルの男性なんだけど‥鍛冶の依頼を受けるのは、同じタルタルの‥しかも男性からだけ。
しかも彼は仕事をこなすのに、お金は受け取らない‥代わりの「対価」を求める、って訳なのさ。
彼の言う「こっち」というのは何なのか‥そして「対価」が何なのかは‥まぁ、今は黙っておこう。
ほら、言うだろう?‥沈黙は金、排便は銀‥ってね。
え?そんな事言わずに教えて欲しいって?フフ、流石にボクも、はっきりとは言えないなぁ。
ともかく、思いっきり「男好き」で「代価に身体を求めてくる」彼だけど‥ああ、言ってしまったね。
でも、かくいうボク自身、徐々に彼の領域に近づきつつあるんだよ‥ね。
「ふふ、女の子も良いけど‥ボクも最近、色々と影響を受けてね。‥可愛い男の子も見つけた‥いや、分かったし」
そう言って、ボクはふと‥最近あった「二人」の出来事を思い出す。
同じリンクシェルに所属する、タルタルの男の子二人‥あの二人の仲むつまじさを見ていると、なんだか‥ふふ、妬けちゃうじゃないか。
まぁ、セイル‥ああ、「二人」の内で片方の子の名前なんだけど‥
そのセイルはボクも気に入っていたから、その‥妬けた、というのはあるんだろうけど‥でも、今は。
そう‥今はまた、違う男の子が‥気になって仕方無いんだ。
一旦そのセイルという男の子に対して、「そういう目」で見る様になってしまってからというもの‥
今までは「そんな風」に思わなかった子が‥「可愛い」と思う様になったんだ。
そう‥今更になって、その子の「本当の可愛さ」に気付いた、っていうのかな。
「ほぅ‥お前が『可愛い』って言うたぁねぇ。‥どんなヤツなのか知らねぇが、連れてきなよ。特別サービスしてやるぜ?」
「だめだよ、ボクのお気に入りなんだからね」
ボクの言葉に、思わず笑みを浮かべるホルホル‥いやいや、そうはいかないよ。
ホルホルの言う「特別サービス」というもの‥おおよその察しはつくしね。
ああ、それともう一つ‥ボクは「気になる彼」の事を可愛いとは思うけれど、ボクには敵わないさ‥フフ。
「はいはい、分かったよ。‥さぁて、俺も休憩は終わりだ‥そろそろ仕事に戻らせてもらうぞ」
ボクの言葉を、ホルホルはあしらうようにそう言って‥改めて仕事を再開しようとする。
おっと‥少し長く話し込んでしまったかな。
ボクももうすぐリンクシェル活動の集合時間だ‥戻るとしよう。
「あぁ、邪魔したね‥ありがとう」
ボクはそう言って、ホルホルに向けて軽く手を挙げてみせると‥くるりと踵を返し、アトリエを後にした。
‥それにしても。
ふと、ホルホルとの間で話に上がったけれど‥ボクが気になる「彼」。
思い立ったが亀甲縛り、と言うし‥早速今日、声を掛けてみようか。
そう思いながら、集合場所に向かうボクに‥
ホルホルがアトリエの中で呟いた言葉が、聞こえるハズはなかった。
「‥しかし、言われて作ったは良いが‥オリハルコンダガーって、赤魔道士は装備できねぇんじゃねぇのか?」


「やぁ、お疲れ様。‥ここ、良いかな?」
リンクシェル活動を終え‥ボク達はリンクシェルメンバーで、海神楼に来ている。
そうだ、活動後の食事会を開いているんだが‥その半ば頃‥いや、正確には始まって間も無く‥かな。
ボクはここぞとばかりに、席を移動する。
ターゲットとなる男の子‥その隣に、空席を見つけたのだから。
これはもう‥運命としか言い様がないだろう、うんうん。
ほら‥据え膳食わぬは男の裸痴とも言うだろう?‥これは行かねば。
「あ‥ウェインさん、お疲れ様です。‥良いんですか、その‥凄く端っこですけど‥」
ボクが気になる男の子‥ツイエ・マツイエはそう言って申し訳なさそうに微笑む。
青白い髪を、ツンツンとオニオンカットにしていて‥それが首をかしげると、綺麗にたゆんでいる。
うむ‥ボクには敵わないにせよ、それでも美しく‥そして可愛い‥。
いや、むしろ可愛いのは‥‥ああ、いや、それよりも。
まぁ、確かに彼の言う通り、ここは端っこだ‥テーブルの隅の隅。
‥そもそもツイエが座って居た場所が、テーブルの隅で‥その更に隣にボクがイスを置いたんだから。
「構わないさ。それよりも‥ほら、ツイエも飲むと良い。これ‥美味しいよ」
ボクはそう言うと、持ってきたボトルを掲げ、ツイエに見せる。
ボトルを見て、ツイエもすぐに‥半分空になっていたグラスを飲み干すと、ボクの方へと差し出した。
‥うん、本当に気の利く子だ。
ボクは美しい角度でツイエのグラスに揉み‥いや、飲み物を注ぎ始める‥
そう‥硬質なボトルの冷淡さに‥美しいボクの顔が映える‥ツイエから見て斜め37度の角度だ。
その美しい角度を保ったまま‥傾けるボトルの中からは、紫色の液体が芳醇な香りと共に溢れ出てきて‥
ツイエのグラスをあっという間に満たしていく‥室内の光に穏やかに光る、紫色の液体で。
「わぁ、グレープジュースですね。ぼく、大好きなんです!いただきます」
グラスに注がれたジュースの色‥そして香りから判断したんだろう、ツイエはそう言って‥早速、とばかりに口を付ける。
軽く二口‥いや、三口ほど飲んだ所で、少し驚いた様な表情を見せながら‥そっとグラスを口から離した。
「ん、これ‥ちょっと濃いけど、美味しい!ウェインさん、これって‥普通のグレープジュースじゃないんです?」
やはり飲んだ後、その「違い」に気付いたんだろう。
ツイエは不思議そうな‥でも、一方で嬉しそうな顔をしながら‥そう言ってみせる。
ふふ、ツイエはグレープジュースが好きだからね‥ボクが予め用意しておいたんだ。
‥そう、「特別」なグレープジュースをね。
鞄の中に入れておいた分、属性杖が入らなくなってしまって‥狩り場で「忘れたよ!」と言った時は流石に反感を買ったなぁ‥
フフ、だが‥そんなモノが無くともボクの弱体魔法はモンスターに通るからね‥問題は無いのだよ。
‥バイオとディアだけだけど‥。
いや、今は魔法談義をしている場合じゃないね。
感脇雄大‥いや、閑話休題。
確か‥そう、グレープジュースが美味しい、という話だったね。
「あぁ、そうだよ。ちょっと発酵させるのがコツでね‥気に入ってくれたならうれしいよ」
そう‥このボトルに入っているのは普通のグレープジュースじゃない。
発酵させたグレープジュース‥まぁ、言ってしまえば「お酒」の一種なんだけど‥
「発酵‥ですかぁ。ぼく、調理は苦手でよく分からないんですが‥でも、こんなに美味しいなんて!」
ツイエはお酒とも知らず、嬉しそうに‥そして美味しそうに「グレープジュース」をゴクゴクと飲んでいる。
一気にグレープジュースを飲み干す姿は、とても雄らし‥いや、男らしくもある。
この様子なら‥フフ、後が楽しみだ。
「ほら、まだまだあるから‥飲みなさい」
ボク自身は飲むのは程々にして、ツイエにもっと飲ませてあげるとしよう。
すぐに空になったツイエのグラスに‥ボクは更に「グレープジュース」を注いでいく。
‥え?酒で酔わせるなんて、人が悪いって?
いや、別に意識を落として‥とまでは思っていないさ。
単に気分を紅葉‥いや、高揚させる為の手段として、酒を選択しただけだよ。
ほら‥よく言うだろう?手段の為には目的を選ばない、ってね。

「ふにゅぅ~。なんだか、とっても気持ち良くなってきましたぁ」
ボクの目の前では、ツイエが朱い顔で心地よさそうに言っているが‥いや、待ってくれたまえ。
一応断っておくけれど、ツイエはまだ「グレープジュース」を1杯しか飲んでいない。
そうだ、最初にボクが注いだ1杯だけで‥続いて注いだものには口を付けていないんだ。
それなのにこんなに酔っているのは好都合‥いやいや、そうじゃない。
どこかおかしい様な‥そんな気がする。
「あぁ、ツイエ、大丈夫かい?‥やけに機嫌が良いようだね」
自分で酒を飲ませておいて、「機嫌が良いようだね」と言うのも何だけど‥まぁいい。
ボクは少し心配そうにして、ツイエに尋ねてみたんだ‥すると‥
「えへへ、実はさっき‥リダさんから『祝い酒だ』って、お酒を飲ませて貰ったんです!そのお陰かなぁ」
そういえば‥確か今日の活動で、ツイエはめでたくも良いアイテムを手に入れたんだった。
それを祝う為に、リーダーのラケさんが酒を用意していたのか‥。
なるほど‥となると、ボクが酒を持ってくる必要は無かった、という訳だ‥
まぁ、それはそれで良いとしよう。
「ふふ‥ツイエはお酒もイケる口なんだね。まだ15歳だって言うのに‥悪い子だ」
まぁ、17歳で飲んでいるボクが言える事では無いけれど‥
ボクは敢えてそう言うと、ツイエの鼻をツン、と軽く突いてみせる。
まるで「こら」と、怒ってみせるかの様に。
ああ、勿論怒るつもりなんて全然無いんだけれどね。
「えへ、ウィンダス憲章なら大丈夫ですよ!‥あ、でもここはジュノだから‥ダメなのかなぁ‥。
 それじゃあ、ヒミツですよ、ウェインさん♪」
ボクの言葉に、ツイエはえへへ、と笑ってそう答える。
‥最後の「ヒミツですよ」の所で、唇に人差し指を当てる仕草を取ったのが‥また可愛いものだ。
そうだ‥そうなんだ。
こんな仕草‥言い回し‥表情の一つ一つ。
勿論今は、軽く酔っていて‥それが少々オーバーになりつつはあるが‥
でも、普段のツイエだって、そうなんだ‥基本的なところは変わらない。
ツイエは‥そう、ツイエは‥!
‥おっと、ボクとしたことが、少しアツくなってしまったようだ‥少し落ち着くとしよう。

そもそもツイエとは‥そう、彼がリンクシェルに入ってからの付き合いだから、もう1年近くになる。
ボクは赤魔道士で‥彼は吟遊詩人。
立ち回りを含めて、パーティ活動では話す内容も無かったが‥一般的な話題なら別だ。
‥とは言っても、ボクから話しかける事は少なくて‥ツイエの方から話しかけてくる事が多かったんだけれど、ね。
でも、それはツイエがボクに対して好意を持ってくれていたから‥という訳では無いだろう。
彼は社交性があって、リンクシェルの皆に対して‥ボクと同じ様に明るく話しかけていたからね。
一方のボクとしても、ごく最近までは‥彼の事をあくまでリンクシェルの仲間、としてしか見てはいなかった。
それが一変したのが‥そう、さっきも言ったあの「二人」の事だ。
あの「二人」の事を見てから‥ボクの中の価値観が変わった‥って言っても良い。
‥念の為に断っておくけれど、別に男同士の「そういう世界」があるのは知っていたさ‥ホルホルの事もあるしね。
でも、それだけじゃなくて‥なんと言えば良いんだろうね‥上手く言葉には言い表せないけれど‥
改めて振り返ると、ボクはツイエに‥強く思う気持ちがあったんだ‥
そして、「二人」はそれに気付かせてくれる‥家庭‥いや、過程を作ってくれた。
だから‥今夜、ボクは‥
‥あぁ、少し、考えが過ぎた様だ。
ツイエと話し始めてから、もうかれこれ‥1時間が過ぎてしまっている。
フフ‥流石にそれは冗談だよ。
でもまぁ、周囲を見渡す限りでは‥そろそろ宴も荒縄‥という状況だろうか。
‥そろそろ行動を起こすのに、良い時間かもしれない。
「ねぇ、ツイエ。少し‥店を出ないかい?‥君とゆっくり、話がしたいんだけど」
飲み物はほどほどに、嬉しそうに食事を口に運んでいるツイエに。
ボクは少しだけ真剣な表情で、そう話しかける。
勿論、その目的は‥言うまでもないだろう?
「ふぇ?‥良いですよぉ。あ、でも、一言リダさんに言ってきますね~」
ボクの言葉に、最初は少し不思議そうな顔をしたツイエだったけれど‥
すぐににっこりとした笑顔を浮かべて、席を立とうとする。
‥リーダーに話して‥か。
いや、話に行く時間すら‥勿体ない。
‥べ、別にラケさんに止められたら困るから‥という訳では無いよ?本当に、いや本当に。
と、ともかく‥別の手を打とう。
「ああ、大丈夫だよ、ツイエ。そうだね‥」
ボクはそんなツイエの肩に手を置くと、歩き出そうとするツイエを止めて‥
そして、周囲を見回してみる。
そして‥近くに丁度良い人物を見かけたボクは、早速声を掛ける。
「ケルるん、ラケさんに言っておいてくれないかい?ボクとツイエ、先に帰るって‥ね」
そうだ‥例の「二人」の片方、ケルるんだ。
今日もセイルと二人、仲よさそうに話をしていて、本当にうらや‥いや、その事は良いんだ。
ともかく、二人とはまぁ、ボクも仲良くやっているから‥ケルるんなら喜んで承諾してくる、と思う。
「‥あぁ、分かったよ。てか、誰がケルるんだよ‥ったく‥」
ボクの言葉に、ケルるんはそう言って‥不承不承、という様子を見せる。
この様子だと‥もしかして「ケルるん」という通称が気にくわない‥のかな?
ケルン・ルナケルンという名前からとった‥「ケルるん」という通称。
ボクとしては、なかなか良いネーミングだと思うのだけれど‥。
「えへ、よろしくお願いしまぁす、ケルるんさん!」
「ツイエまで‥はぁ~‥」
機嫌の良いツイエにまで、「ケルるん」と呼ばれたからだろうか。
ケルるんはガックリ、とばかりに肩を落とす様子を見せていた。
ふむ、そこまでだったとは‥今度までにもう少し気の利いた通称を考えておいてあげようか‥。
ケルにゃん、ケルモン、ケルケルケルっぴ‥いや、次々と良い通称が浮かんでくるのだが‥
まぁ、しばらく考えるとしよう。


「さぁ、どうぞ‥少し散らかっているけどね」
あれから‥店を出てツイエと「違うお店に行こうか」と話をしたのだけれど‥
ツイエはとてもご機嫌な様子で、静かな雰囲気のお店には入りづらい。
かといって喧噪やかましいお店だと、肝心の話が出来そうにない‥という事から。
結局ボクのレンタルハウスへと来る事になったんだ。
‥ふふ、こんな事もあろうかと‥予め掃除は済ませてある。
そうだ‥常に二手、三手先を読むのが赤魔道士のロマンシン‥いや、性というものだよ。
「おっじゃましまぁーす。わぁ、ウェインさんのお家‥とっても素敵!」
玄関を上がり‥廊下を通ってまずはしびん‥いや、リビングへ。
リビングの様子を見て、早速ツイエのご機嫌そうな声が聞こえてくる。
フフ‥そうだろう、そうだろう。
ボクが直々にデザインした、リビングルームの素晴らしい家具達!
壁一面には様々な花が!
あふれかえる文机とタルタルスツール!
そしてあの‥ウィンダスのモグハウスをイメージし、ボクが作った‥噴水セット(カリ)があるんだから!
フフ‥ボクの部屋にやってきたみんなは大抵驚くものさ‥。
うん?レンタルハウスを勝手に改造して良いのかって?
問題無いよ‥フフ、ボクの人徳を以てすれば、ね。
ほら‥良く言うだろう?やったもんガチンコ‥って。
お‥話をすれば、ツイエも気になったんだろう、さっそく噴水のオブジェに向かって行って‥
「わぁ‥これ、凄いですね!ツァヤンマスクの下に錆びたバケツがあって‥何かのおまじないみたい!」
‥フフ、まぁ‥芸術とは時として理解されにくいものだ‥それは仕方の無い事。
それよりも‥そう、肝心要の話‥に移る前に。
流石に夏も近いからだろう、どうにも蒸し暑く感じるな。
まぁ、リンクシェル活動で汗を流した後‥そのまま食事をして、更に暑くなった‥というのもあるのだろう。
ここは一つ、シャワーでも浴びて‥軽く汗を流した方が良いかもしれないな。
「ツイエも暑くて、汗をかいただろう?先にシャワーを浴びると良い」
物珍しそうに噴水セット(カリ)を眺めているツイエに、ボクは優しく肥‥いや、声を掛ける。
え?ツイエと一緒にシャワーを浴びないのかって?
フフ、ボクは紳士だよ?流石にそこまで厚かましくは無いし‥また破廉恥でも無いさ。
それくらいはちゃんと心得ているよ、うんうん。
ともかく、ボクの言葉に対し、ツイエはわぁい、とばかりに喜んで答える。
「はぁい!ウェインさんも一緒にシャワー浴びましょーね!」
「ハッハッハ!仕方無いな、それじゃあ一緒に浴びるとしよう」
いやいやいや、仕方無いだろう?
そこまで切実に!そして懇意に!一緒のシャワーを望まれては‥断る方が悪いという話だ。
うんうん、さあ‥ツイエと一緒に肉欲‥いや、さっぱりとしたシャワータイムを楽しもうじゃないか。

「あぁん‥ボク‥ウェインさんの前で裸になるの、恥ずかしいよぅ‥」
‥などと言って恥ずかしそうに衣服を‥そして下着を脱いでいくツイエ‥
‥‥などでは勿論無くて。
「えへ、ウェインさんも早く早くぅ!気持ち良いシャワー浴びましょっ!」
脱衣所に入るなり、あっという間に裸になって‥ボクを急かすツイエ。
‥勿論、ちんちんだって隠そうとはしない‥いや、むしろ見せびらかしているかの様だ。
まったく、想像したよりも大きい‥なかなか良いモノを持っているじゃないか。
しかし‥このままだとボクのだって大きく‥いやいや。
ともかくボクも服を‥そして下着を脱ぎ始める。
さぁ、美しい肉体を疲労‥披露しようじゃないか。
「フフ、ツイエは元気だね。さぁ、気持ち良いのを浴びせるぞ~」
‥いや、単にツイエの「気持ち良いシャワーを浴びましょう」という言葉に返しただけだよ。
そう、別段深い意味は無いのさ。
そんな「気持ち良い○○」とかそういう‥
「あー、ウェインさんってばえっちなんだぁ。ちんちん大きくなってきてる~」
う、しまった‥要らぬ想像・妄想をしたせいで、少しずつボクのが大きくなってしまったようだ。
それをツイエに指摘されては‥流石のボクも恥ずかしいな。
「ほらほら、からかうんじゃないよ。さ、浴室へ入ろう」
ボクに向けて悪戯そうな笑みを浮かべるツイエを‥くるりと浴室の方へ向けると。
そう言いながら、ツイエの背中を押して‥ボク達は脱衣所を後にした。
そうだ‥フフ、これからが欲情‥いや、浴場の一時の始まりだ!


 
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