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タルタル協奏曲

その23『鍛冶屋ホルグと新たな客』

 ←その22『黒魔道士ネリスの場合』 →その24『戦士マイアスの場合・前編』
あらすじ
 俺はホルグ・ラホルグ‥タルタル族の男だ。
 ジュノ上層の‥とある場所で鍛冶屋なんてもんをしてるんだが‥まぁ、客には困ってないのが現状だ。
 商売繁盛、仕事もたっぷり入ってて‥休む暇もありゃしねぇ。
 だがな、そんな忙しい中でも‥「特別な客」が来たなら、俺は仕事を請け負うんだ。
 そうだ‥俺の「好み」に見合った「特別な客」ならな。
 昨日はネリス・カリネスさん‥っていう「特別な客」とまぁ‥色々あったんだが‥おかげでまた仕事が増えちまった。
 仕事が増えた分、今日も頑張って相棒の鍛冶槌を振るわねぇとな!

 

「ふぅ~、一服一服。ちぃとばかし身体を休めねぇとなぁ」
昼時は優に過ぎてるが、夕方までにはまだちぃとばかし時間がある‥そんな時間。
俺は鍛冶場の休憩所で、ソファーにごろんと寝転がって休憩中だ。
いや、昼飯を食ってから延々働きづめだったからな‥疲れちまったんだよ。
‥いやいや、働きづめって言うならそもそもは昨夜から‥だな。
昨夜は遅くまで‥今朝は早くから延々と働きっぱなしでな、そりゃあ疲れるってモンだぜ。
それもまぁ仕方の無ぇ事だ‥色々と仕事を抱えてるからな‥昨日だって新しい仕事を受けちまったし。
‥まぁ、あの可愛い黒魔道士‥ネリスの頼みだ、頑張り甲斐があるってモンだぜ。
まぁ、今日は仕事の依頼客も来ねぇし‥その分作業に集中できた、ってのもあるんだろう。
おかげで作業の進捗はほどほどに捗っちゃあいるが‥もうひと頑張りが必要だな。
とりあえず、しばらくは新規の仕事なんて受けられそうにねぇし‥
ん?そんな事考えてる間に、さっさと働けって?
いやいや、休憩も大事なんだぜ?
根を詰めて延々と働き詰めたって、そうそう成果は上がらねぇんだ。
体力は勿論だが、集中力だって切れちまうしな‥やっぱりほどほどに休憩は必要なんだよ。
‥っと、そろそろ良いかな。
休息は十分、これでもうひと頑張りできる、って寸法だ。
「よし‥そいじゃあ始めるとするかぁ!」
俺は気合いを入れるように、腹の底から声を出しながら‥ソファーから立ち上がったんだ。

素材よし、火よし、そして何より‥相棒の鍛冶槌よし!
休憩を終えた後、早速仕事に取りかかろうと‥俺が気合いを入れたその時だ。
バンッ!っていう大きめの音が耳に入ってきて‥俺は驚きながらも音の方へと振り返る。
丁度音がした方向にあるのは扉‥そうだ、俺の鍛冶場の入り口だ。
状況から考えて、さっきの音は勢いよく扉が開けられた音だったんだろうな。
で、肝心の扉の所には、っていうと‥ん、タルタル族の男が一人居て‥
「た‥たのもうっ!」
俺がその男の顔を見たその時‥そうだ、視線が合うなり男はそんな声を上げたんだ。
‥さっきの扉を開けた音に負けねぇ位の大きな声で、な。
俺はその状況に、思わず‥キョトンとしてしまう。
だ、だってよ?その‥「たのもう」ってなぁ‥なんだ?
確かどっかで聞いたよな‥‥えっと‥ひんがしの国にある「ドージョーヤブリ」ってヤツだったか?
いや、それ以前にここは鍛冶場であって「ドージョー」じゃねぇし。
‥まぁいい、考えてても埒があかねぇわな。
「ん‥なんの用だ?」
俺はとりあえず鍛冶道具を置くと‥立ち上がって男の方を見る。
じっくりとその顔を見ても‥勿論見覚えの無ぇ顔だし‥‥第一「たのもう」なんて言うヤツ、客に居たら忘れねぇって。
それはともかく、この状況だ‥かなり不審なヤツだと思うが‥もしかしたら客かもしれねぇし、迂闊にヘンな事ぁ言えねぇ。
‥見る限り、タルタル族の「男」だしな‥顔だってまぁ、悪くは無ぇ。
髪型はちと‥って、その話は後だ。
とにかく、俺はそいつへの言葉は語気を抑えて‥態度だって抑えたつもりだ。
‥まぁ、ちったぁ「不審に思う感覚」が出ちまってたかもしれねぇが。
で‥まぁ、その感覚はそいつにも伝わった‥のかもしれねぇな。
俺の言葉に一瞬身体を震わせながら‥おずおず、って感じで喋り始めたんだ。
「あ‥あんたがホルグ‥さんか?」
なんていうのか‥恐怖、とまではいかないまでも‥そうだな、こわごわと‥って言い方が近いか。
そんな表情を浮かべながら、やっこさんは俺に尋ねてくる。
‥俺以外にホルグなんてここにゃあ居ねぇが‥ああ、そうか。
俺の事を弟子とかアシスタントとか、そういうのと勘違いしてるのかもしれねぇな‥
って、念のために言っとくが‥俺は弟子もアシスタントもとらねぇ主義なんだ。
まぁ‥なんていうか、苦手なんだよ‥人に教えるのも、指図するのも。
‥んなこたぁどうでもいいか。
「‥ん、そうだ‥俺がホルグ・ラホルグだ」
「そ、そうなのか!‥えっと‥その‥」
俺がホルグだと分かるや否や、やっこさんは急に‥いや、瞬時に表情を変える。
まるで顔に花が咲いた‥とばかりに嬉しそうに、な。
でも、そんな嬉しそうな表情も、すぐに困った様な‥いや、考えてる様な、って言った方が正しいか。
そんな表情へと変わったんだが‥ふむ、何か考える事でもあるのかもしれねぇ。
まぁしかし‥コロコロと表情を変えるヤツだな‥フフ。
「その‥おれ、惚れたんだッ!‥あんたにッ!」
やっこさんの言葉を聞いて‥俺は思わず目を丸くしちまう。
‥だってよ、そりゃそうだろ?
やっこさんと会ったのはついさっきだぜ?出会い頭に「惚れた」なんて告白されるたぁなぁ‥
そりゃあ俺も男だ、「惚れた」なんて言われて嬉しく無ぇハズが無ぇ。
しかしまぁ‥なんでまた俺に惚れたのかね?
いや、俺は別に自分でも顔が良いとか思っちゃいねぇ‥むしろどこにでもある顔だと思ってるし‥
って。待て待て、もしかしたらこいつぁ何かの「罠」かもしれねぇ。
ほら‥よく聞くだろ?相手をおだてて何かを買わそう、ってヤツ‥キャッチセールス、とか言ったか。
油断はしちゃあいけねぇよな‥‥さて、それじゃあどう出るか‥
「ん~、俺はお前さんと会うのは今日初めてな気がするんだが‥なんでまた俺に惚れたんだい?」
そうだ‥そもそもやっこさんは俺の名前しか知らなかった‥
俺がホルグである事すらも知らなかった。
こんな状態で、やっこさんはどうして俺に惚れたのか‥
そこから解決の糸口を見つけようって考えたのさ。
‥さて、やっこさんの反応は‥って言うと‥
ん‥急に顔を真っ赤にしちまったな‥なんか恥ずかしいことでも思い出したのか?
「え‥あ、ち、違う、違うんだ。その‥おれが惚れたのは‥あんたの‥ホルグさんの腕になんだ!」
ふむふむ‥なるほどな。
どうやらやっこさん、言葉を間違えてたみたいだな‥
残念だが俺に惚れたんじゃねぇ‥俺の腕‥おそらく鍛冶の腕に惚れた、って事か。
‥まぁ、それなら分からんでもねぇな‥残念だけどよ。
しっかし‥コロコロと変わる表情の変化だとか‥あるいは言葉遣いだとか。
そういうのから見ると‥なんていうのか、やっこさんはまだまだ子供‥そんなイメージがあるな。
フフ‥可愛いじゃねぇか。
なんとなく、俺自身もやっこさんの事を気に入り始めてるな‥なんて自分でも感じ始めて‥
更にはまぁ‥やっこさんの事を「面白いヤツかもしれねぇ」とも思い始めたんだ。
「そうかそうか、俺の腕に‥か。で、俺の腕の‥どういう所にだい?」
さて‥やっこさんにちぃとばかし良い印象を持ち始めた俺だが‥まだまだ。
一気に人を好きになっちまう‥信じ込んじまうのはダメだ。
ちゃんと話を聞いて‥やっこさんの事を判断していかねぇといけねぇ。
‥なんて建前は置いとくか。
まぁ‥なんだ、話を聞くのが面白そうだ、ってのが正直なところだな。
「その‥おれ、ある友達が居るんだけど‥そいつ、おれと同じタルタルで‥でも、タルタルの中でも特別手がちっちゃくてさ。
 そのくせ暗黒騎士とかやってて、武器にはいつも困ってるんだ‥手に合う武器が無ぇって」
やっこさんの話し始めた「友達の話」‥その内容に。
ふと‥俺はあるタルタル族の男を思い浮かべる。
‥そうだ‥あの小さな手でぎこちなく扱いてくれた‥いやいや、今はまだその記憶は置いとけ。
とにかく‥確か両手剣をこしらえた、あの暗黒騎士‥の事じゃねぇのか?
「でも‥昨日会ったときにはさ、すっげぇ嬉しそうに武器を見せてきたんだよ‥『ボクに合う両手剣、作って貰ったんだ!』って。
 ‥確かに、その両手剣はグリップの所が細くて‥でも、勿論しっかりしててさ‥友達の手にぴったり合ってるんだ」
‥そうだ、やっぱりあの暗黒騎士の事だろう。
あいつの手は特別小さくてな‥多分一般的なタルタル用の両手剣じゃあ、扱い辛ぇ事この上無ぇだろうさ。
だから‥俺に一生懸命頼んできたんだろうな‥そんなヤツにゃぁ、やっぱり応えてやりたいだろ?
考えられる限りの知識と知恵をしぼって、両手剣をこしらえてやったんだよ。
刀身にも勿論こだわったが‥ポイントは握り柄の部分だ。
あいつの小さな手に合わせて、素材、強度、握りやすさ、刀身との重心バランス‥全部を根底から練り上げてあつらえたんだからな。
まぁ‥あんな仕事、もう一度やれ‥って言われてもできるかどうかなんてわからねぇくらいのデキだ。
それにしても‥喜んでるのなら何よりだ‥うんうん。
そうそう、フェラだって上手かったし‥‥いやいや、その話はもうちょっと後な。
「おれ‥クリスタル合成で鍛冶もしてるから‥わかるんだ。この両手剣を作ったのは、凄ぇ人だって。
 使う人の事を考えて、その人の為に妥協しないで作り上げる‥凄ぇ良い仕事をしてるって‥思って‥‥‥一発で‥惚れちまってたんだ」
‥なるほど‥な。
そうか、あの仕事を‥しかもちゃんと握り柄を見て「凄い」と言ってくれるのか‥うんうん、嬉しいねぇ。
それに‥なにより分かったことは‥そうだ、やっこさん‥良い性格してるじゃねぇか。
まっすぐな気持ちを持ってて‥恥ずかし気もなく「惚れる」なんて言えて‥あぁ、ちょっとおっちょこちょいな所もあるみたいだけどな。
いや、それを含めて「良い性格」だな‥ちょっと子供っぽいところはあるが。
いやいやいや、その子供っぽいところがまたなんとも言えねぇ位に‥っと、ここらへんにしとくか。
‥ただまぁ、問題は‥‥いや、そいつぁまだ分からねぇ‥今はまだ、な。
とにかく‥黙って聞いていた俺に対し、やっこさんは一通り「言いたいこと」を言い終えたみたいだ。
最後の最後で「まとめ」とばかりに‥こう言ったんだ。
「だから‥おれ、あ、あんたに‥鍛冶をお願いしたいんだッ!」
やっこさんは、身体を乗り出すようにしながら、両手を握りしめていて。
フフ‥そうか、仕事の話だったのか‥いや。
いきなり「惚れた」なんて言うから、俺はてっきりエロい話かと思ったが‥いやいや。
‥まぁ、今までの話を聞いて‥俺もやっこさんに惹かれつつあるんだ。
仕事の話‥聞こうじゃねぇか。
「仕事の依頼‥か‥フフ、まぁいい。とりあえず‥話を聞こうじゃねぇか」
俺はそう言うと、改めて仕事の話を聞く体勢に入る。
‥ん?さっき「新規の仕事は受けられそうにない」って言ってたって?
ヘヘッ、まだ確定じゃあ無ぇが‥やっこさんが「特別な客」が相手だったら‥そんなモン、言ってられねぇだろ?

「さて‥それじゃあ仕事の話‥の前にだ。お前さん‥名前はなんて言うんだ?」
ちゃんと仕事の話をする、となれば‥そうだ。
やっこさんの名前を聞いておかなきゃいけねぇよな。
‥いつまでも「お前さん」じゃあつれねぇだろうし。
「あ‥そうだった‥その、おれ‥マイアス・アイスって言うんだ‥じゃなくて、言います」
やっこさん‥マイアスさんは、自己紹介の後、慌てて語尾を言い直したんだが‥うーん。
‥そいつぁだめだな。
「あぁ‥無理はしねぇでいいんだぜ?丁寧語なんざぁ使わなくてもな。‥普段のお前さんの言葉で喋ってくれや」
そうだ‥マイアスさんは、どうやら丁寧語を使うのに慣れてねぇみてぇだ。
そんな無理した言葉を使うよりも、さっきまでみたいに「自分」を出してくれた方がいいんだ。
‥ヘヘッ、その方が何より可愛いんだからな。
「あ‥その‥おれ、助かるよ。頭悪いからさ、丁寧に話すのって‥苦手で」
俺の言葉に、マイアスさんは嬉しそうに‥でも少し恥ずかしそうに、頭を掻いてるんだ。
ったく、その仕草と良い言葉と良い‥ホンットに可愛いじゃねぇか。
頬なんてうっすらと朱く染めやがって‥ったく、その頬にちゅーしてやろうか、ちゅーをよ?
‥ああ、いや‥冗談はさておき、だ‥‥ん?冗談だぞ、冗談‥本当だ。
「ああ、そっちの方がお前さんらしくていいさ。さぁ、それじゃあ仕事の話だ。‥俺は何を作れば良い?」
とりあえず‥だ。
肝心のこしらえる物‥マイアスさんは何を作って欲しい、ってんだ?
‥外見を見る限り、両手斧なんてもんを背負ってる所から、戦士だ‥ってのは分かる。
ちらっと見る限り、ホーバージョンとか装備してるところから‥ほどほどの腕を持った戦士、ってところか。
で、その戦士さんは何を欲しいんだ?‥斧か?鎧か?それとも‥?
俺の言葉に、マイアスさんは「えっと‥」なんて言いながら戸惑いの表情を見せたが‥
すぐに真面目な表情になって、言葉を続けていく。
「‥俺、戦士をしてるんだけど‥その‥サブリガ‥を作って欲しいんだ」
マイアスさんの言った言葉‥「サブリガ」という言葉に、俺は思わず眉をひそめる。
最近の戦士は、サブリガなんざ装備するのか‥?ああ、いや、悪くは無ぇ‥悪くは無ぇんだが‥
‥おっとそうだ、「サブリガって何なんだ?」ってヤツが居るかもしれねぇ、簡単に説明しとくぜ。
サブリガってのは、脚を守る防具だ‥あぁ、クウィス、トラウザ、ブレー‥そういう類のヤツだな。
ただな‥そのフォルムが独特で、一般的にはあんまり使われて無ぇんだよ。
そのフォルムってのは‥そうだな、まるでビキニ‥ああ、食い込みのキツいパンツみたいなヤツなんだよ。
‥まぁ、そんなんだから‥普通は敬遠されがちなんだ‥でもな。
そいつぁあくまで「一般的」な話では、ってヤツだ。
そうだ‥中にはサブリガ愛好者、通称サブリメンなんてヤツらも居るし‥
俺自身はサブリガは履かねぇが、見るのは好きだな‥勿論タルタルの男が履くのに限って、だけどな。
‥っと、話が逸れちまったな‥本題に戻るとするか。
「サブリガ‥ねぇ。勿論構わねぇが‥一体またどうしてなんだ?」
サブリガ自体、色々あってだな‥骨を使ったサブリガもあれば、鉄なんかの金属でできたサブリガもある。
鍛冶屋の俺も勿論作れる訳で、そこん所は問題無ぇよ。
‥ただまぁ、戦士がどういう理由でサブリガが欲しいのか‥それはやっぱり気になるんだよな。
だからまぁ、俺も聞いてみた‥って訳だ。
「その‥俺、リンクシェルの活動で、サブリガを着ることになったんだけどさ‥
 なんていうのか‥普通のサブリガじゃあ、その‥キツくて‥」
なるほど、リンクシェルの活動‥なんかのイベントか?
ともかくそこでサブリガが必要になった、って訳か‥あぁ、それなら分からねぇ事も無ぇ。
ただ‥ん?キツい?‥キツいって‥腹か?
マイアスさんをぱっと見た限りじゃあ、とても腹が出てる様には見えねぇが‥。
「キツい‥ねぇ。市販のでも結構胴回りとか、余裕を持ってるハズだけどな」
「胴回りは問題無ぇんだ‥その‥問題なのは‥ごにょごにょ‥」
そうだ、市販‥そこらの武器・防具屋で売られてるものでも胴回りはある程度余裕があるハズだ。
‥なんていう俺の言葉に、マイアスさんは言いづらそうに声を落としながら‥ごにょごにょ言ってる様だが‥上手く聞き取れやしねぇ。
なんだ‥?胴回りじゃねぇんなら‥何がそんなにキツいんだ?
「なんだ?はっきり言わねぇと分からねぇぞ?ほら‥大きい声だして言ってみろよ」
‥一応言っておくが、そんなにキツい口調で言ってる訳じゃあねぇぞ?
俺はある程度語調を落として言ったつもりだ。
まぁ、それはともかく‥俺の言葉に、マイアスさんは覚悟を決めたんだろうな。
一際大きな声でこう言ったんだ。
「その‥ケツがキツいんだ!」
‥ケツが‥キツい‥?
ほう‥ケツが‥ねぇ‥ふんふん‥。
まぁ確かに、サブリガってのはケツをきゅっと締め付けてるからな‥ケツがデカいと、ちぃと苦しいかもしれねぇな。
‥しかし、胴回り以上にケツのトコは余裕があるハズだと思うんだが‥うーん。
まぁいい‥それよりも‥フフフ。
それだけデカいケツなら‥見てみてぇじゃねぇか?
こう‥想像するだけでも‥ああ、やべぇ、勃っちまいそうだ。
「‥ほぅ‥ケツがねぇ‥フフン」
「な、なんだよ‥笑うなよ‥その‥俺だって恥ずかしいんだぞ‥」
っといけねぇ‥ついエロい想像に、軽く笑っちまったぜ。
マイアスさんはきっと本気で悩んでるんだろうし‥ちゃんと謝っておかねぇとな。
「いや、悪かったな。その‥初めて聞くモンでな。‥でも、お陰で話は分かったぜ。
 で‥だ、お前さんはそのサブリガ、いつまでに欲しいんだ?」
「えっと‥リンクシェルの活動が、5日後にあるんだ。‥それも朝早いから、できるなら前日に欲しいんだよ」
5日後の早朝‥って事は、実質4日間しかねぇ、って話だな。
‥正直、今の仕事でも手一杯‥って所に、サブリガを4日間‥しかも細かい調整を入れつつ作る、ってのは‥一苦労だな。
一苦労だが‥フフ、その分の見返り‥つまり「代価」はかなり美味そうだ。
一仕事入れても良い‥そんな感じがしてきたな‥いやいや。
‥まだだ‥もう一歩踏み込むとするかな‥フフフ。
「よし、4日だな‥とすると、だ。そうだな‥ふむ、マイアス‥悪ぃがケツを見せてくれ」
「なッ!‥こ、ここで‥か‥?」
俺の突然の「ケツを見せろ」の言葉に、びっくりした表情を見せるマイアス。
‥まぁ、そりゃそうかもしれねぇが‥こいつぁ大事なことだ。
そう、俺がこの仕事に乗り気になるかどうかの‥‥ああ、いや、勿論表面上は違う事言っとくけどな。
「そうだ‥お前さんのケツを見て、ある程度の作業工程が掴める‥それと4日っていう時間を秤に掛けなきゃならねぇからな」
フフ、もっともらしい説明だろ?‥ああ、いや、勿論この話だって嘘じゃねぇ。
作業工程を掴むのは本当だ‥ただ、どれだけ大変でも、やると決めりゃあ‥絶対にやるけどな。
そんな俺の気持ちが、マイアスさんにも通じた‥のかもしれねぇな。
恥ずかしそうに小さな声で「わかった」ってつぶやくと‥くるりと回って俺に背を向ける。
んでもって、軽くケツを突き出すような‥そんな体勢を取るマイアスさん。
‥ふむ、今着ている‥シパーヒゼレハか、これだと余裕があってちゃんとはケツが見えねぇが‥
なんとなく‥なんとなくケツがデカい様な、そんな気はするな‥なんとなくだが。
まぁ、直に見てみりゃわかることだ。
マイアスさんが脱ぐのを待つとするか‥‥‥‥‥‥ん?
俺はじっとマイアスさんのケツを見ながら、シパーヒゼレハを脱ぐのを待ったんだが‥一向に動かねぇ。
なんだ?ここまで来て恥ずかしくなっちまったか?
「さ、そのシパーヒゼレハを脱いでくれよ。‥でなきゃよく見えねぇからな」
「うぅ‥やっぱ脱がなきゃダメか‥‥しゃあねぇよな‥」
俺の言葉に、恥ずかしそうな声でそんな言葉を漏らすマイアスさん。
‥なるほどな、シパーヒゼレハの上からでもケツは十分に‥分かる訳無ぇって。
まぁともかく‥マイアスさんはおずおずと‥シパーヒゼレハを脱ぎ始める。
ケツに引っかかるようにしながらも、ずり落ちたシパーヒゼレハ‥その中から現れたのは‥
「おぉ‥確かにデケぇな‥」
俺の口から、思わずそんな声が漏れちまった‥が、それも仕方無ぇ事だろう。
マイアスのケツがよく見えるよう、俺はしゃがみ込んで‥丁度目の前にケツが来るようにしていたんだが‥
パンツの上からでも分かるほど、ケツはぷっくりと膨らんでいて‥まるで腫れている様にも見えるんだからな。
こいつぁしかし‥ケツの谷間にチンコ挟んで尻コキするのも気持ちよさそうだな‥ああ、いやいや、まだ早ぇ。
今はまだ、「仕事熱心な鍛冶屋」のフリをしなきゃいけねぇからな。
‥でも、もうちょっと‥言ってみるか‥‥無茶な事を。
「でもな、パンツ越しじゃあ‥まだよく分からねぇな。‥悪ぃがパンツも脱いでくれるか」
「ぱ‥パンツまで脱ぐのかよ‥‥うぅ‥‥し、仕方無ぇ‥よな‥」
俺の言葉に、恥ずかしさのせいか‥それとも驚きのせいか‥一瞬声が大きくなるマイアス。
だが、自分でも「仕方無い」と思ったんだろうな‥そんな言葉と共に、そっとしゃがみ始める。
しゃがむのと同時に、パンツの胴回りに手を添えると‥そっと‥‥パンツを膝近くまで下ろしたんだ。
‥‥うーん、見事だ。
こんな良いケツ、見たこと無ぇ。
ぷりっぷりのみずみずしい果物みたいな、艶のある表面‥勿論重そうなしっかりとした肉付き。
ここまですばらしいケツ、今触らずしていつ触るんだ?‥なんて考えてたら‥俺の手は自然とマイアスのケツ肉へと伸びていたんだ。
「ひっ!‥お、おい、そんな‥触るなんて‥」
「‥静かにしな。‥弾力、質感‥直接触って調べなきゃ、分からねぇ事はあるんだ」
‥あぶねぇあぶねぇ。
俺も言い訳を考えるのに必死だぜ‥いやいや、実際に調べなきゃいけねぇことなんだけどな。
まぁ‥俺の言葉にマイアスも黙りこんじまったし、ついでに色々と弄くってみるか。
とりあえず‥二つに分かれたケツ肉を、俺はそれぞれ左右の手で掴み‥
「うぅ‥」
掴んだ途端、マイアスの口からそんな声が漏れるが‥気にしちゃいけねぇ。
それぞれの弾力を確かめる様に、むにむにと揉んでみる‥ん、こいつぁ良い弾力だ。
「‥はぁ‥っ」
なんだ‥?なんか感じてるような声が聞こえてきたが‥まさかな。
まぁ、次は‥そうだな、マイアスさんにゃあ悪いが、恥ずかしいトコも見せて貰うとするか。
俺は左右の手でケツ肉を掴むと‥そのまま左右に押し広げてみる。
‥ケツの溝の奥に見えるのは‥ヒクヒクと蠢く綺麗なケツの穴、だ。
おうおう、そそるじゃねぇか‥
「ちょ‥っ‥そんな‥」
流石にケツ肉を開かれた事で、恥ずかしくなったのか‥マイアスさんは戸惑うような声を漏らし始める。
おっと‥ちぃとばかしやりすぎたかな?
名残惜しいが、そろそろ止めとくか。
俺はそっと手を離すと、立ち上がってマイアスから離れる。
「よし、これで見当は付いた。もう着てもいいぜ」
俺の言葉に、マイアスは慌てて‥パンツとシパーヒゼレハを着始めるのだった。

「さて、それじゃあ仕事の話だが‥」
マイアスがちゃんとシパーヒゼレハを着込み、再び俺と向かい合ったのを機に‥俺は話し始める。
‥敢えて、ここは真剣な表情で‥な。
勿論、なぜそうするのかは‥分かるだろ?
「頼むよ‥材料だって用意してあるし、その‥俺‥どうしてもあんたの作ったサブリガが要るんだ」
そんな俺の気配を、マイアスさんも察知したのかもしれねぇな。
いや、それ以前に‥やっこさんの良い性格が出てるから‥かもしれねぇな。
一生懸命な表情でそう訴えかけてくるんだ。
そんなマイアスさんに、俺はいつもの‥‥いや、その前に。
そうだ‥肝心の事を‥確かめねぇとな。
「あぁ、その前に‥マイアスさん。悪いがよ、俺の頼みを一つ‥聞いちゃあくれねぇか?」
「‥頼み?その‥おれにできることなら」
俺の言葉に、少し驚いた‥んだろうな。
まぁ、ここに着て「頼み」なんて言うもんだからな。
とにかく‥マイアスさんは軽く首をかしげると、俺にそんな言葉を返してくる。
「なぁに、簡単な事だ。‥今かぶっているシパーヒターバン‥脱いじゃあくれねぇか?」
‥そうだ、やっこさんはここへ来てからずっと、シパーヒターバンを着たままなんだ。
シパーヒターバン‥まんまターバンだな、髪の毛を覆って‥マイアスさんの髪型を見えねぇようにしちまってたんだ。
俺が気になること‥そうだ、マイアスさんの髪型‥だ。
もし‥もしやっこさんの髪型が‥「後ろ縛り」だったら‥。
‥俺はどうするだろう。
正直言って、今はたまらねぇくらいに‥やっこさんに惹かれてるんだ。
‥今すぐにむしゃぶりつきたくなるくらいにな。
だが‥もし‥もしかしたら‥‥‥いや。
まだそうだと決まった訳じゃねぇし‥ぐだぐだ考えるのは分かってからでも良いじゃねぇか。
「ん‥ああ、構わねぇよ。‥よいしょっと」
‥俺が考えてる間に、マイアスさんはそう言うと‥ターバンに手を伸ばし、そして‥脱ぎ始める。
ターバンの下から出てきた髪型、それは‥
‥綺麗なオレンジ色の後ろ縛り‥だった。
‥‥なんてこった。
ここまで来て後ろ縛り‥しかもあいつと同じオレンジ色だってのか。
その光景に‥遠い記憶が重なって、思わず目が眩んじまう俺‥。
遠い記憶‥いつの記憶だったか、分からないくらいの‥あの記憶が。
 『ごめんね‥でも‥』
言うな‥言わないでくれよ‥謝らないでくれよ‥
 『ぼく達、友達だよ?』
そうじゃねぇ‥俺は違う‥俺にそんな資格はねぇんだ‥
 『ありがとう、ホルグ‥祝福してくれて、嬉しいよ』
祝福なんてしてねぇよ‥できるわけ無ぇじゃねぇか‥
う‥‥頭の中に浮かんできやがる‥
あいつの声、あいつの言葉、あいつの‥‥ううぅ‥
頭が‥痛い‥なんで‥なんであいつの事、今になってまで‥こんな‥
「ど、どうしたんだ、ホルグさん‥大丈夫か?」
突然頭に響いてくる、その声‥そして身体を揺さぶる、その衝撃に‥俺は我に返る。
‥あぁ、悪い記憶が蘇って‥意識が飛んじまってたらしい。
ったく、情けねぇよな‥いつまでも過去を引きずってさ‥。
っと、その話は後だ‥今は目の前で俺を心配そうに見つめる、マイアスさんの方が先決だ。
「あ、あぁ‥大丈夫だ。仕事の疲れが出たんだろうな‥軽く目眩がきやがった。‥大丈夫だ、気にするな」
とりあえず、目眩のことはこれで良いだろう‥とは言っても‥これからどうするかな。
マイアスさんに惹かれている俺だが、肝心の髪型が‥‥‥‥‥‥「肝心の」、か。
何が肝心なんだ‥違ぇだろうが、髪型なんて‥肝心じゃあ無ぇだろうが。
確かに今は、髪型で‥あいつの事を思い出しちまってる‥でも、あいつはあいつ‥マイアスさんはマイアスさんだろうが。
俺はマイアスさんの性格に惹かれた‥身体に惹かれた‥それでいいじゃねぇか。
‥そろそろ自分でもケリつけなきゃいけねぇだろ。
あの髪型に‥あの記憶に‥ケリつけなきゃいけねぇだろうが。
だから‥今は言えばいい‥「代価」を。
大丈夫だ‥マイアスさんとなら、大丈夫だ。
俺は改めて目を閉じる‥そして、まぶたの裏にあいつを思い出してみる。
‥オレンジ色の髪を、後ろ縛りにしていたあいつ‥
普段なら考える事から逃げていた、あいつの事を‥思い返して、そして‥心で告げる。
‥さよなら、だ。
ゆっくりと‥ゆっくりとまぶたの裏から‥あいつの顔が消えていく。
不思議と‥今までは「消えてくれ」と思っても消えなかった、あいつの顔が‥消えていく。
‥‥これで良い‥これで‥‥良いんだ。
目を開いた俺は、マイアスさんの方へと視線を向ける‥うん、シパーヒターバンは脱いだままだが‥大丈夫だ。
‥始めよう、いつもの話を。
「マイアスさん。作業工程を計算したんだが‥俺も今、仕事で手一杯の状況でな。はっきり言って‥時間がねぇ」
真剣に‥真面目に‥しかし、申し訳なさそうに。
いつもの通り、俺はマイアスさんに言葉を続ける。
「そ‥そんな‥‥」
そして‥想像通り、悲しそうな‥今にも崩れ落ちそうな、そんな表情をマイアスさんはするんだ。
‥見るに忍びねぇが‥仕方無ぇ。
段取り‥ってモンがあるからな。
「‥でもな、特別に‥最優先で作っても良い。‥そうすれば、4日あればできるだろう」
「特別に!?‥た、頼むよ‥その‥金ならなんとか‥」
俺の言葉に、一生懸命な表情で言葉を返すマイアスさん。
その口から出た「金」という言葉を‥俺は勿論切り捨てる。
「いや、金じゃねぇんだ。‥金じゃなくて‥『代価』を俺は求めるんだがな」
その「代価」という言葉を言った時‥俺はマイアスさんの表情を見ていた。
‥「代価」という言葉を聞いて、マイアスさんがどんな反応をするのか‥楽しみだったからな。
もしかしたら‥さっき言っていた「友達」から「代価」の話を聞いていたかもしれねぇし。
‥だが、マイアスさんの反応は、って言うと‥
「‥『代価』‥って、何なんだ?」
そうか‥何も聞いちゃあいなかったのか。
‥いや、そもそも話さねぇか‥「男と寝る代わりに作って貰った」なんざ言わねぇよなぁ‥。
とにかく‥改めて説明するとしよう。
「あぁ、簡単に‥ズバッと言っちまうとだな。『俺と寝て貰う』って事だ」
俺の言った「寝る」という言葉に、マイアスさんは身体をビクッと震わせる。
‥まぁ、その反応は正しいだろうな。
普通は‥いきなり男からそんな事言われちゃあ、そうなるもんだ。
「ね‥寝る?‥その‥横で寝る、って事じゃあねぇ‥よな?」
「あぁ、勿論だ。‥俺とエロい事する方の『寝る』だよ」
もしかしたら‥と期待しているのかもしれねぇマイアスさんを、俺は真っ向から否定するように‥言葉を返す。
そして‥俺の言葉の前に、マイアスさんは黙りこんだんだ。
顔を朱くしながら、うーん‥と考えるそぶりを見せるマイアスさん。
‥悪いな、マイアスさんよ。
俺の事を‥俺の腕を惚れてる、とまで言ってくれたあんたに、こんな事を言うのは‥正直言って申し訳無ぇんだが。
でもな、それ以上に俺は‥いや、ここから先は何を言っても綺麗事だ、やめとくとするぜ。
俺は聖人君子じゃねぇ‥人の弱みにつけ込んで、エロい事を楽しむような男だからな。
‥まぁ、それはともかくとして‥だ。
今はマイアスさんの気が済むまで、じっくり考えりゃあ良い‥そう考えた俺は、何も言わずにマイアスさんの様子を見ていたんだが‥
しばらくした後の事‥だ。
マイアスさんは、軽くうつむいたままで‥ぼそぼそ、と話し始めたんだ。
「う‥‥わかった。その‥おれ‥あんたとエロい事しても‥良いから‥」
恥ずかしそうに‥顔を朱くして、そう言うマイアスさんに‥俺は。
‥心の中で喜びを抑えるのに、そりゃあもう‥必死だったんだぜ?
こんな気持ちになったのは‥そうだな、本当に久しぶりだ。
「ん‥わかった。それじゃあ早速‥行こうぜ。‥時間が勿体ないからな」
俺はその言葉と共に、マイアスさんの肩を抱いて‥休憩所へと向かう。
‥最高の‥ひととき限りの情事が楽しめそうだぜ。

 
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